「化粧品」と「医薬部外品」どっちがいいの?中身の“見える化”でわかる、本当の違い
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「薬用○○○○」や、「医薬部外品」って書かれていると、なんとなく“効きそう”って感じませんか?
一方で、「化粧品」と書かれているものはやさしそうだけど、効果が弱いのでは?と思う方も多いはず。
でも実は、そのイメージだけで判断してしまうのはとてももったいないんです。
なぜなら――化粧品と医薬部外品の違いを正しく知ることこそが、自分に合ったケアを選ぶ第一歩だからです。
1️⃣ 化粧品の“本当の姿”
化粧品は、どれだけ優れた成分や技術を使っていても、薬機法のルール上「効果・効能」を謳うことができません。
つまり、科学的なエビデンスがしっかりあっても、「フケを防ぐ」「抜け毛を抑える」などと書くことはできません。
その結果、本当に優れた処方や技術を持つ化粧品であっても、世の中で“埋もれてしまう”ことがあります。
ですが、
化粧品には「全成分表示義務」がある。
つまり、どんな成分がどれだけ入っているか、すべて消費者が確認できるということ。
中身が“完全に見える”という点で、実はとても透明性が高いカテゴリなんです。
「何が入っているかわかる安心感」、それが化粧品の一番の強みです。
2️⃣ 医薬部外品の“安心の裏にある仕組み”
一方で「医薬部外品(薬用化粧品)」は、厚生労働省が定めた成分・配合量の基準を満たせば、効果効能を謳えるカテゴリーです。
たとえば、
Aという有効成分を入れるなら、Bという成分を〇〇%以上入れてください。
この条件を満たせば、「フケ・かゆみを防ぐ」と表示してもOKです。
というように、決められた“処方ルール”が存在します。
だから「薬用」という言葉がついているものは、確かに国が認めた成分を一定濃度で含んでいる証拠でもあります。
しかしその一方で――
医薬部外品には「全成分表示義務」がありません。
法律上は「有効成分」と「その他の成分」とだけ書けばOK。
つまり、実際にどんな成分がどんな比率で入っているのか、詳しくは分からないというケースも多く、
“ブラックボックス化”しているものが少なくないんです。
安心感の裏に、「中身が見えない」という側面もあるということです。
3️⃣ 世界ではエビデンスがあるのに、日本では“言えない”現実
ここで少し面白い話を。
たとえば海外では、しっかりと臨床データがあり、美容効果などが証明されている成分や技術がたくさん存在します。
しかし、日本では厚生労働省がその成分を「有効成分」として認めていなければ、どれだけデータがあってもその効果効能を表示することはできません。
つまり、「成分が良いかどうか」ではなく、
“日本の制度で認められているかどうか”が、ラベルに書けるかどうかを決めているんです。
このルールのもとでは、本当に良い製品が市場で埋もれてしまうことも少なくありません。
4️⃣ 結局、どっちがいいの?
こうして比べてみると、それぞれの特徴がはっきり見えてきます。
| 比較項目 | 化粧品 | 医薬部外品 |
|---|---|---|
| 表示できる効果 | 制限あり(薬機法で定義) | 厚労省が認めた効能を表示できる |
| 成分表示 | 全成分表示が義務 | 全成分表示の義務なし(有効成分のみ必須) |
| 処方の自由度 | 高い(独自設計が可能) | 決められた成分・濃度でしか製造できない |
| 表示の透明性 | 高い(中身が見える) | 低い(中身が曖昧なことが多い) |
そしてこの比較を踏まえて、ぜひ考えてみてください。
中身がすべて見える化粧品
それとも、使う成分、処方が決められた医薬部外品
どちらに“可能性”を感じますか?
「薬用=いいもの」という思い込みを少し離れてみると、
実は“中身の透明性”こそが、安心を生む時代に入っているのかもしれません。
まとめ
化粧品も、医薬部外品も、どちらが正解というわけではありません。
大切なのは、**「それぞれどういったモノなのか?」**を知ることです。
-
成分の透明性や安心感を重視したいなら → 化粧品
-
明確な効能表示で選びたいなら → 医薬部外品
本質的に考えるなら、
ラベルに書かれた「効果の言葉」よりも、“中身”と“設計思想”にこそ注目してみてください。
その視点を持つことが、あなたにとっての“本当に良い選択”につながります。
参考文献URL
-
厚生労働省|化粧品・医薬部外品に関する制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/keshouhin/index.html -
日本化粧品工業連合会|全成分表示制度の概要
https://www.jcia.org/user/business/ingredients/drugexplain -
ChemLinked|日本の医薬部外品制度解説
https://cosmetic.chemlinked.com/cosmepedia/japan-quasi-drug-regulation -
MIPRO|化粧品・医薬部外品の輸入・販売マニュアル
https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/pdf_publications_00632023.pdf -
Global Regulatory Partners|日本における化粧品・医薬部外品登録
https://globalregulatorypartners.com/wp-content/uploads/Registration-of-Cosmetics-and-Quasi-Drugs-in-Japan-V8.pdf -
Trade.gov|Japan Cosmetics Standards Overview
https://www.trade.gov/market-intelligence/japan-cosmetics-standards