皮膚マイクロバイオーム “洗いすぎ”が老け見えを招く?

皮膚マイクロバイオーム “洗いすぎ”が老け見えを招く?

— やさしく3分で整理(筆者の考えも明記)

先に結論

  • 過剰な洗浄は常在菌皮脂膜を奪い、乾燥や老け見えの誘因になります
  • 皮脂と天然保湿因子(NMF)を必要な分だけ残すことが大切。過剰な洗浄や洗浄力の強い成分は避けましょう。
  • 弱酸性の洗浄と保湿でバリアを守り、マイクロバイオームを育みましょう。
  • 睡眠・食事・ストレス管理など生活習慣が微生物の多様性を支えます。

なぜ今この話が必要?

 

感染症対策で手洗いや消毒が日常化し、肌の乾燥や荒れを訴える人が増えています[7]。「皮膚マイクロバイオーム」とは肌の表面に共生する微生物の集団で、バリア機能を支えることが研究で示されています[1]

 

皮膚マイクロバイオームとは?

 

マイクロバイオームとは細菌・真菌・ウイルスとその遺伝情報を含めた生態系です。

 

皮膚では表皮ブドウ球菌※などの常在菌が汗や皮脂を代謝して脂肪酸やグリセリンを産生し、肌を弱酸性に保ちます[2]

 

角質層にはアミノ酸や尿素などからなるNMF※(天然保湿因子)があり、水分を保持します[3]

 

これらが皮脂膜とともに黄色ブドウ球菌の増殖を抑え、角質層※と協力して物理・化学・免疫のバリアを形成します。

 

肌を城に例えるなら、角質層は城壁皮脂膜は堀常在菌は兵士で、兵士が減れば外敵が侵入しやすくなります。

 

最近は腸内環境と皮膚の状態が関連することも示唆され、腸内マイクロバイオームの乱れが皮膚疾患に影響する可能性が研究されています[5]

 

洗いすぎがもたらすリスク

 

強い石けんやアルカリ性洗浄剤で洗いすぎると常在菌と皮脂膜が流れ、NMFまで失われるため乾燥や敏感肌を招きます[3]

 

ゴシゴシ洗いや熱湯は角質層を傷つけます[7]

 

アルコール消毒の頻用は手荒れの原因となり、紫外線や乾燥、睡眠不足、ストレスはマイクロバイオームのバランスを乱し炎症や老化を促す要因となり得ます[5].

 

今日からできるケア

 

洗顔・洗体は朝夜1〜2回で十分です[6]。弱酸性で洗浄力が穏やかな洗浄剤とぬるま湯を選び、泡を転がすように洗って必要な皮脂やNMFを残しましょう[3].

 

洗浄後はセラミドやグリセリンを含む保湿剤を早めに塗布し、ポストバイオティクス配合品は常在菌の多様性維持に役立つ可能性があります[4]

 

睡眠や食事、運動、ストレス管理、紫外線対策といった生活習慣を整えることも重要です[5]

 

NGと注意点

 

抗菌ソープピーリング剤の毎日使用、アルコール消毒の過剰サプリメントの過剰摂取はマイクロバイオームの多様性を損なうおそれがあります。

洗浄力の強い成分を避け、まずは基本の洗浄と保湿で皮脂とNMFを守ることが大切です。

 

よくある質問(FAQ)

 

Q1:洗顔は何回が適切ですか?

A:朝夜の2回程度で十分です。汗をかいたときはぬるま湯で軽く流します。

 

Q2:どんな洗浄剤を選ぶべきですか?

A:皮膚に近い弱酸性で、強い界面活性剤を含まない製品を選び、泡立ちの良いものを使用します。

 

Q3:プロバイオティクス入り化粧品は効果がありますか?

A:常在菌の多様性をサポートする成分は注目されていますが、研究はまだ途上です[4]。基本の洗浄と保湿を徹底した上で取り入れましょう。

 

まとめ

 

皮膚マイクロバイオームは健康な肌を守る見えないパートナーです。

過度な洗浄過度なアルコール消毒を避け、必要な皮脂やNMFを残し、弱酸性の洗浄と保湿、整った生活習慣で常在菌とバリアを守ることが老け見え対策の一助となります。

 

注釈(用語解説)

  • マイクロバイオーム※:細菌・真菌・ウイルスなど微生物とその遺伝情報の総体。皮膚や腸など各部位に固有のコミュニティが存在する。
  • 常在菌※:皮膚や粘膜に常に存在し、病原菌の侵入を防ぐなど宿主と共生する菌。表皮ブドウ球菌やコリネバクテリウム属など。
  • 皮脂膜※:皮脂と汗が混ざった薄い膜。弱酸性で細菌バランスを保ち、水分を閉じ込める役割がある。
  • 角質層※:表皮の最外層で、角化した細胞がレンガのように積み重なり、その間を脂質が埋めることで外界からの侵入を防ぐ。
  • 表皮ブドウ球菌※:皮膚に多く存在する常在菌で、汗や皮脂を代謝して脂肪酸やグリセリンを産生し、肌を弱酸性に保つ。
  • NMF※(天然保湿因子):角質層に存在するアミノ酸や尿素などの保湿成分。水分を吸着して保持し、角質層の柔軟性を保つ。

参考文献

  1. Hyun‑Ji Lee & Miri Kim (2022) Skin Barrier Function and the Microbiome, Int J Mol Sci 23(21):13071. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9654002/
  2. 剣持悟 (2022) 「義肢装具(材料)の衛生面の知識と管理法」日本義肢装具学会誌. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo/38/3/38_261/_pdf
  3. Eucerin (2024) What is skin microbiome and how do I protect it? https://int.eucerin.com/about-skin/basic-skin-knowledge/skin-microbiome
  4. Dan‑Qi Wang et al. (2023) Effects of investigational moisturizers on the skin barrier and microbiome, J Clin Med 12(18):6078. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10532330/
  5. Gut Microbiota For Health (2024) The gut‑skin axis: feel it in your gut, wear it on your skin. https://www.gutmicrobiotaforhealth.com/the-gut-skin-axis-feel-it-in-your-gut-wear-it-on-your-skin/
  6. 丹波泰子 (2023) 「正しい“手洗い”できていますか?」大東文化大学. https://www.daito.ac.jp/daitoeyes/study/details_01077.html
  7. 田辺三菱製薬 (2023) 『肌荒れ』の症状、原因、対処法、予防法. https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/selfmedication/1877
  8. DermNet NZ (2023) The gut microbiome in skin disease. https://dermnetnz.org/topics/the-gut-microbiome-in-skin-disease
ブログに戻る

記事監修

薬剤師 蓑原 修 先生

薬学部薬品製造学卒、協和発酵株式会社(現・協和キリン)医薬事業部就任、当会社退職後、多数の美容外科クリニック(ヴェリテクリニックetc)を設立指導。現在、多数の製薬会社・化粧品メーカーの学術顧問就任 現在に至る。

公式LINE登録でクーポンを受け取る

見出し下の画像

クーポンは「公式LINEにご登録いただいている方限定」でお届けしています。
未登録の方にはクーポンをお送りできませんので、ぜひこちらからメールアドレスをご記入の上、お得な公式LINEにご登録ください。

友だち追加