濡れた髪は傷みやすいって知ってました? 皮膚科学と毛髪科学が示す「やってはいけない行動」とは

濡れた髪は傷みやすいって知ってました? 皮膚科学と毛髪科学が示す「やってはいけない行動」とは

濡れた髪は「弱い」のではなく「別の性質」になる

 

「濡れた髪は傷みやすい」


あまり多くの方には知られていないかもしれません。

知ってたとしても、なぜ濡れるとダメージを受けやすくなるのか
を正しく理解している人は、とても少ないはず。

 

これは感覚論やイメージの話ではなく、
**皮膚科学・毛髪科学の分野で、すでに説明されている“構造と物性の変化”**によるものです。

 


濡れると髪には何が起きているのか

 

髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。
このケラチン同士は、いくつかの結合(特に水素結合)によって支え合い、
髪の強度や弾力を保っています。

 

ところが、髪が水に濡れると、

 

・髪の内部に水が入り込む

・ケラチン同士を支えていた結合の一部が弱まる

・髪の太さが一時的に膨らむ

 

という変化が起こります。

 

この結果、
**濡れた髪は「柔らかく伸びやすいが、力に弱い状態」**になります。

一見しなやかに感じても、
外からの刺激に対する耐性は下がっている
──これが、濡れた髪の本質です。

 


「伸びやすい=丈夫」ではない

 

ここでよくある誤解があります。

濡れた髪は、


・引っ張るとよく伸びる
・乾いた時より柔らかく感じる

 

そのため「傷みにくそう」と感じてしまうことがあると思います。

しかし毛髪科学の実験では、


濡れた髪は、乾いた髪よりも“低い力”で損傷や破断が起きやすい


ことが示されています。

 

つまり、

 

・伸びる

・でも、耐えられる力は小さく切れやすい

という、非常に扱いづらい状態なんです


表面(キューティクル)にも変化が起きている

 

濡れた髪では、内部だけでなく表面構造にも変化が起きます。

髪の表面を守っているキューティクルは、
水分を含むことでわずかに浮き上がり、摩擦を受けやすくなります。

この状態で、

・こする

・引っかける

・繰り返し触る

といった行為をすると、
キューティクルが削れたり、欠けたりしやすくなります。

 

洗髪後の「タオルドライ」、「手ぐし」、「濡れたままのブラッシング」などで起こりがちなダメージなので意識的に気を付けましょう。

 


多くの人が無意識にやっているNG行動

 

ここで、特に多い行動を整理します。

 

・濡れたまま髪をゴシゴシ拭く

・タオルでねじる

・髪をしぼる

・手ぐしで何度も触る

・濡れた状態でブラシを通す

・「早く乾かしたい」と強く引っ張る

これらはすべて、
濡れた髪の弱点を直撃する「会心の一撃」になります

 

やっている本人は「普通のこと」のつもりでも、
ダメージは確実に積み重なっていきます。

 


だから「洗髪後の行動」が髪質を左右するし、大切

 

シャンプーやトリートメントを変えても、

 

・洗髪後の扱いが雑

・濡れた髪への配慮がない

・お風呂上りすぐに乾かさない

この状態では、
どんなに良いケアをしても結果が出にくくなります。

 

逆に言えば、
洗髪後の数十分を変えるだけで、髪のダメージリスクは大きく下げられる
ということでもあります。

 


今日からできる、最低限の正解ケア

 

難しいことは必要ありません。

 

・タオルは「押さえる・包む」だけ

・ゴシゴシ拭かない

・無理にとかさない、無駄に手ぐしをしない

・乾かすまでの時間を短くする

 

これだけでも、
濡れた髪に加わるストレスは大きく減ります。

 


まとめ

実は濡れた髪は「最も慎重に扱うべき状態」

 

濡れた髪が傷みやすいのは、

・髪の内部構造が変わる

・表面が摩擦に弱くなる

・外部刺激への耐性が下がる

という、科学的に説明できる理由があります。

 

だからこそ、
「洗っている時」よりも
「洗ったあと」こそが、髪の分かれ道です。

 

この事実を知っているだけで、
無意識のダメージは確実に減らせます。

 

参考文献・出典(エビデンス)

・American Academy of Dermatology (AAD)
Tips for healthy hair
https://www.aad.org/public/everyday-care/hair-scalp-care/hair/healthy-hair-tips

・American Academy of Dermatology (AAD)
How to shampoo your hair
https://www.aad.org/public/everyday-care/hair-scalp-care/hair/how-to-shampoo

・Fernandes C, et al. (2023)
On Hair Care Physicochemistry: From Structure and Dynamics to Novel Formulations
(毛髪の構造・水分・機械的特性を総合的に解説したレビュー論文)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9921463/

・Robbins C.
Hair breakage during combing. III. The effects of bleaching, conditioning, and wet vs dry combing
(濡れた髪と乾いた髪での破断リスク差を検証)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17728947/

・Osório F., Tosti A.
Hair Weathering, Part 1: Hair Structure and Pathogenesis
(キューティクル損傷・摩擦・物理ダメージの総説)
https://cdn.mdedge.com/files/s3fs-public/Document/September-2017/024110533.pdf

・Mayo Clinic
Hair care: How to care for your hair
https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/adult-health/in-depth/hair-care/art-20046074

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記事監修

薬剤師 蓑原 修 先生

薬学部薬品製造学卒、協和発酵株式会社(現・協和キリン)医薬事業部就任、当会社退職後、多数の美容外科クリニック(ヴェリテクリニックetc)を設立指導。現在、多数の製薬会社・化粧品メーカーの学術顧問就任 現在に至る。

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