納豆と認知機能について日本人研究で分かったことを伝える手描き風イラスト

納豆を食べる人は認知機能が良い?日本人研究で分かったこと

「納豆をよく食べる人は、認知機能の状態も良いのか?」

そんな、僕にとってかなり気になる研究が発表されていました。

というのも、僕は納豆が大好きです。

ほぼ毎日、1パック食べています。

なので最初にこの研究を見た時は、素直に「やっぱり納豆っていいんだな」と思いました。

最初に、ここだけは分けて考えてください 納豆をよく食べる人に、MCI(軽度認知障害)やうつ傾向が少ない「関連」は見つかっています。 でも、「納豆を食べれば認知症を予防できる」と証明された研究ではありません。

僕自身が納豆好きだからこそ、都合よく「納豆はすごい」で終わらせず、今回は別の日本人研究まで含めて見ていきます。

65歳以上616人を調べた、今回の研究

今回の研究は、2026年に医学誌「Nutrition Research」に掲載された、日本人高齢者616人を対象とした研究です。

対象になったのは65歳以上の方で、納豆を「週2〜3回以上食べる人」と、それより少ない人を比べています。

616人65歳以上の参加者
351人週2〜3回以上、納豆を食べる
133人MCIありと判定

さらに、うつ傾向があると判定された方は125人でした。

年齢や性別、教育歴、一人暮らしかどうか、薬の使用、身体的なフレイル、食事の多様性、豆腐や味噌汁を食べる習慣などを考慮して比べても、週2〜3回以上納豆を食べる習慣がある人では、MCIとうつ傾向のどちらも少ない方向の関連がみられました。

研究上の数値では、どちらもオッズ比は0.63です。

「37%認知症になりにくい」とは書けません

0.63という数字を見ると「37%リスクが下がった」と言いたくなりますが、今回示されたのはオッズ比です。

しかも、この研究は認知症の発症を何年も追いかけた研究ではありません。ですので、「納豆で認知症リスクが37%下がる」という受け取り方はしない方がいいです。

日本人高齢者616人を対象にした納豆摂取習慣とMCI・うつ傾向の関連をまとめた図解

MCIは「認知症そのもの」ではありません

今回出てくるMCIという言葉も、少し分かりにくいと思います。

MCIは「軽度認知障害」のことで、認知症そのものではありません。

認知機能に低下がみられるものの、買い物や家事などの日常生活は大きく損なわれていないことが多い状態です。

今回の研究では、複数の認知機能テストのうち一つ以上で、同年代・同程度の教育歴の人の平均より一定以上低い成績だった場合に、MCIありと判定しています。

また「うつ傾向」も、医師がうつ病と診断したという意味ではありません。

質問票を使って評価し、一定以上の点数だった方を「うつ傾向あり」としています。

この二つを混同すると、研究で分かったことより話が大きくなってしまいます。

なぜ「納豆で認知症予防」とは言えないのか

理由は、今回が横断研究だからです。

横断研究という言葉は難しく聞こえますが、簡単に言えば、ある時点の生活習慣と健康状態を一緒に見た研究です。

納豆をよく食べている
+
その時点でMCIが少ない
↓
ここまでは分かる

でも
「納豆を食べたからMCIが少なくなった」
ここまでは分からない

例えば、認知機能や体の状態が比較的良い人ほど、自分で買い物をして、いつもの食生活を続けやすい可能性もあります。

健康への意識が高い人ほど、納豆だけでなく、運動や睡眠、ほかの食事にも気を配っていることも考えられます。

研究ではいろいろな条件を統計的に調整していますが、それですべての違いを取り除けるわけではありません。

納豆メーカーが関わっている研究だから、別の研究も見たい

今回の研究では、著者8人のうち3人がミツカンホールディングスの勤務者であることが、論文の利益相反欄に明記されています。

これは「だから信用できない」という意味ではありません。

企業と大学が一緒に研究すること自体は珍しいことではないですし、関与をきちんと明記していることも大切です。

ただ僕は、こういう時ほど「別の研究でも同じ方向の結果が出ているのか」が気になります。

実は、日本人約4万1,000人を追った研究もあります

そこで参考になるのが、国立がん研究センターなどが行っているJPHC Studyです。

こちらは45〜74歳の男女、約4万1,000人を対象に、食生活を調べた後、平均9.4年間追跡しています。

今回の616人の研究とは違い、その後に認知症になったかを追いかけた研究です。


・大豆製品全体では、認知症との明確な関連はみられなかった

・イソフラボン全体でも、明確な関連はみられなかった

・男性では、納豆との明確な関連はみられなかった

・女性では、納豆摂取が多い人ほど認知症リスクが低い方向の関連がみられた

 

さらに女性を年齢で分けると、調査時に60歳未満だった女性では、納豆摂取量が多いほど認知症リスクが低い方向の関連が統計学的にみられています。

これは、浸艶のお客様にも多い40代、50代の女性にとっては、少し気になる結果だと思います。

ただし、ここでも「納豆を食べれば認知症を防げる」とまでは言えません。

食事を観察する研究では、その食品そのものだけではなく、普段の生活全体の違いがどうしても入り込みます。

僕が面白いと思ったところ

今回の研究だけなら「たまたまでは?」とも思えます。

でも、別の大規模な日本人研究でも、特に女性の納豆摂取に同じ方向の結果が出ている。ここは、これからさらに研究してほしいなと思いました。

では、納豆の何が関係しているのか

ここは、まだ答えが出ていません。

納豆は大豆を発酵させた食品なので、大豆由来のたんぱく質やイソフラボンだけではなく、発酵によって生まれるさまざまな成分もあります。

イソフラボンについては、2026年に37研究をまとめた系統的レビューと16件のRCTを使ったメタ解析が報告され、全般的な認知機能や記憶の一部で小さな良い効果が示されています。

ただ、JPHC Studyではイソフラボン摂取量そのものと認知症に明確な関連はありませんでした。

なので今回の納豆の結果を見て、

「イソフラボンのおかげ」
「ナットウキナーゼのおかげ」
「ビタミンK2のおかげ」

と、一つの成分に決めることはできません。

僕はこの辺りもすごく大事だと思っています。

健康情報を見ると、どうしても「結局、何の成分が効くの?」と知りたくなります。

でも食品は薬のように一成分だけでできているわけではありません。

納豆を食べるという行為には、食品そのものだけでなく、その人の普段の食事や生活も一緒についてきます。

僕は、ほぼ毎日納豆を1パック食べています

ここからは、研究とは別の僕自身の話です。

僕は昔から和食が好きで、納豆はほぼ毎日食べています。

パンは本当に食べません。

年に数回くらいで、むしろ「今年パンを食べたのいつだっけ」と覚えているくらいです。

なので今回の研究を読んだ時、納豆そのものだけではなく、改めて日本人の食卓って大豆がすごく身近・大事なんだなと思いました。

納豆。

味噌。

醤油。

豆腐。

全部、大豆から作られています。

同じ大豆を、そのまま食べたり、固めたり、発酵させたり、調味料にしたりする。

これを昔の人たちが生活の中で作り上げて、今でも普通に食卓に残っている。

僕は、こういうものを見ると先人の知恵ってすごいなと思います。

ご飯、味噌汁、納豆、焼き魚、冷奴、漬物を並べた和食の食卓

知り合いのプロボクサーも、よく納豆を食べていました

僕の知り合いにプロボクサーがいるのですが、その方も納豆をかなり食べていました。

減量しながら体を作る時にも食べると言っていましたし、普段からほぼ毎日のように食べていたと思います。

納豆は植物性のたんぱく質を含む食品で、文部科学省の食品成分データベースでは、糸引き納豆100gあたりのたんぱく質は16.5gです。

40gのパックなら単純計算で約6.6gになります。

もちろん、だからプロボクサーに納豆が特別必要という話ではありません。

でも僕の中では、納豆って「健康食品として頑張って食べるもの」ではなく、昔から普通に食卓にあって、たんぱく質も取れる身近な食品なんですよね。

最初は「昔ながらの和食が一番なのかも」と思いました

今回の研究を見た時、僕は正直こう思いました。

「ご飯、味噌汁、納豆、焼き魚、冷奴、漬物。今だと少し地味に見える食事だけど、こういう食事こそ日本人には合っているんじゃないか」

食文化がこれだけ多様になった今だからこそ、余計にそう感じたんだと思います。

ただ、ここも調べてみると、「昔の日本食だけが正解」と単純には言えません。

国立がん研究センターが約9万人の日本人を平均18.9年追跡した2025年の研究では、伝統的な日本食パターンだけでなく、そこへ乳製品やコーヒーを加えた「新しい日本食パターン」でも、全死亡や循環器疾患死亡が少ない方向の関連がみられています。

昔ながらの日本食には良いところがあります。

でも「海外から入ってきた食べ物が悪い」「昔の食事だけに戻れば健康になる」という話ではないんですよね。

むしろ僕が今回改めて感じたのは、食生活が変わっても、昔から身近にあった良いものまで忘れる必要はないということです。

納豆や豆腐、味噌、魚、野菜。

そういう普通のものを、普通に食べる。

僕は和食が好きなので、これからも大事にしたいと思っています。

がんの増減も「食の欧米化だけ」では説明できません

僕自身、最初にこの研究を見た時は、食生活の変化と大腸がんや胃がんなどの増加を結びつけて考えました。

でも、ここは調べるほど単純ではありませんでした。

国立がん研究センターの最新統計では、がんの「人数」が増えている大きな理由には人口の高齢化があります。

年齢構成の影響を除いて見ると、全がんの死亡率は1990年代半ば以降、減少しています。

胃がんではピロリ菌の影響も大きく、食事だけで説明できません。

だから、「食文化が多様化したから、がんが増えた」と一つの理由に結びつけるのは違うと僕は思います。

好きな考えに研究を合わせるのではなく、調べた結果、自分の最初の印象と違えばそこは直す。

こういう健康情報こそ、そのくらいの距離感で見た方がいいと思っています。

認知症も、一つの食品だけで考えない

国立長寿医療研究センターでも、認知症のリスクについては一つの食品だけではなく、複数の要因を見ることが大切だとされています。

例えば、

・運動

・バランスの良い食事

・高血圧や糖尿病など生活習慣病の管理

・喫煙

・人との交流や社会活動

・難聴などへの対応

こうしたものを一緒に考えていくということです。

最近は、運動・食事・認知トレーニング・生活習慣病の管理などを組み合わせる「多因子介入」の研究も進んでいます。

僕なら、今回の研究はこう受け取ります

「納豆を食べれば認知症予防になる」ではない。

でも、日本人が昔から食べてきた身近な食品に、認知機能との興味深い関連が何度か報告されている。好きで無理なく食べられるなら、毎日の食卓の一つとして楽しむ価値は十分あると思います。

ワルファリンを服用している方は、納豆を避ける必要があります

血液を固まりにくくする薬「ワルファリン」は、ビタミンKの影響を受けます。

納豆にはビタミンKが多く、納豆菌による影響も続くため、PMDAではワルファリン服用中は納豆を控えるよう案内しています。

「薬と時間を空ければ食べていい」というものではありません。服用中の方は、医師・薬剤師の指示に従ってください。

僕は明日も、納豆を食べます。

今回の研究を読んだから急に始めるのではなく、昔から好きで、無理なく続いているからです。

健康のために何か特別なものを一つ足すより、毎日の食卓にあるものをちゃんと食べて、体を動かして、人と話して、よく寝る。

結局、僕はそういう普通のことを大事にしたいです。

この記事で確認した主な資料

※研究結果は集団でみた関連を示すもので、個人の発症や予防効果を保証するものではありません。

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記事監修

薬剤師 蓑原 修 先生

薬学部薬品製造学卒、協和発酵株式会社(現・協和キリン)医薬事業部就任、当会社退職後、多数の美容外科クリニック(ヴェリテクリニックetc)を設立指導。現在、多数の製薬会社・化粧品メーカーの学術顧問就任 現在に至る。

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