予洗いの極意 -予洗いをする意味を理解する-
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「予洗いは大事です」
この言葉自体は、聞いたことがある方も多いと思います。
でも、いろいろな方とお話をしていると、予洗いを何のためにやっているのかまで理解している方は、意外と少ないと感じます。
髪を濡らして、シャンプーを泡立ちやすくするため。
それだけだと思っているなら、僕はちょっともったいないと思っています。
予洗いは、ただ髪を濡らす時間ではありません。
シャンプーを使う前に、お湯で落とせる汚れを先に落とし、頭皮と髪を「これから洗う状態」へ整える工程です。
僕は仕事でも何でも「段取り八分」という言葉が好きなのですが、予洗いもまさにそんな感覚です。
もちろん、科学的に「シャンプーの8割が予洗いで決まる」という意味ではありません。
でも、シャンプーの効果を最大限にする準備として、大事にしてほしい工程だと思っています。
予洗いで、シャンプーの仕事を減らしておく
一日過ごした髪や頭皮には、ほこり、汗、はがれ落ちた角質、皮脂など、いろいろなものが付着しています。
このうち、ほこりや汗など、お湯だけでも流しやすいものはあります。
だから、いきなりシャンプーに全部任せるのではなく、先にお湯で落とせるものを丁寧に流しておく。
僕が考える予洗いの一番大きな意味はここです。
ではなく
お湯で落とせるものは先に落とす
↓
そのあと、油性の汚れなどをシャンプーで洗う
皮脂は油性なので、お湯だけですべてきれいに落とせるものではありません。
僕は、フライパンのバターを焦がさないようにゆっくり溶かすようなイメージで予洗いを考えています。
今も感覚的なイメージとしては近いのですが、正確には、「ぬるま湯で皮脂を全部溶かして落とす」のではなく、お湯で落とせる汚れを先に流し、残った油性の汚れをシャンプーで落としやすい状態にしておくと考える方がいいです。
予洗いの段階で完璧にきれいにしようとして、ゴシゴシこする必要はありません。
爪を立てる必要もありません。
頭皮までお湯をきちんと届けて、指の腹で軽く頭皮を動かしながら、丁寧に流していけば十分です。
僕は38℃前後で予洗いをしています
予洗いで、もう一つかなり大事なのがお湯の温度です。
僕は肌がかなり敏感なので、熱いお湯を頭皮に当てると、ヒリヒリしたり、かゆくなったりすることがあります。
僕の場合、40℃くらいと38℃くらいでは、この2℃の差が思っている以上に大きいです。
なので、僕は38℃前後のぬるま湯で洗っています。
熱いお湯ほどよく汚れが落ちそうに感じますが、洗髪時のお湯は熱くするほど良いわけではありません。熱いお湯は皮膚への刺激や乾燥につながりやすいため、特に乾燥しやすい方、敏感な方は、まず38℃前後から試してみてください。
感じ方には差があります。僕自身が敏感肌で試してきた中では、38℃前後が一番いい温度でした。
時間よりも「頭皮を全部洗えたか」を意識する
予洗いというと、「何分やればいいですか?」と聞かれることがあります。
一般には1分程度を目安に案内されることも多いのですが、髪の長さや量で必要な時間は変わります。
僕がそれ以上に大事だと思っているのは、頭皮全体にお湯がきちんと届いたかです。
髪の表面だけをザーッと濡らして終わると、頭皮までお湯が届いていない部分が意外と残ります。
そこで僕は、頭を一気に洗おうとせず、部位ごとに分けて予洗いしています。
髪が長い方は、最初に毛流れを整える
髪がある程度長いときは、僕はお風呂に入る前に一度、無理のない範囲で櫛を通します。
絡まりをほどいて毛流れを整えておくと、お湯を通すときにも髪をかき分けやすくなります。
短い髪なら、僕はわざわざやっていません。
予洗いは、頭を5つくらいに分ける
順番はどこからでも構いません。僕はだいたい次の順番です。
髪の間から指を入れて、頭皮までお湯が届くように流します。
襟足から、つむじの少し手前くらいまで。髪が重なりやすいので、表面だけで終わらせません。
耳の上から頭皮へ指を入れ、お湯の通り道を作るようにします。
髪の上からシャワーを当てるだけでなく、指を入れて頭皮まで流します。
最後に前側まで一周して、流していない場所がないか確認します。
こうやって部位を分けると、洗い残している場所に気づきやすくなります。
特に、襟足、耳の後ろ、後頭部は、髪が重なったりシャワーが通りにくかったりして、洗うときもすすぐときも残しやすい場所です。
頭皮を「洗う」のではなく、お湯を「通す」感覚
予洗いのときから、汚れを落とそうとしてガシガシこする必要はありません。
僕は、指の腹を頭皮に当てて、軽く揺らすように動かします。
髪をかき分けながらお湯を頭皮まで通し、その流れに沿って指を軽く動かす。
それくらいです。
「このあとシャンプーで洗える状態を作る工程」
これくらいの意識でやる方が、僕は予洗いの意味が分かりやすいと思っています。
予洗いが変わると、シャンプーの泡も変わる
予洗いを丁寧にすると、そのあとのシャンプーの泡立ちや、泡の広がり方が変わることがあります。
頭皮や髪に皮脂やスタイリング剤などが多く残っていると、シャンプーの泡立ちが弱く感じることがあります。
だから泡立ちが悪いとき、僕はすぐに「シャンプーを足そう」とは考えません。
まず、予洗いが十分だったかを一度見直します。
浸艶を使っていただいているお客様とお話ししていても、予洗い自体はしているけれど、「髪を濡らす工程」になっていることがあります。
同じ商品を使っていても、予洗いのやり方で使い心地が変わることはあります。
また「天然由来成分100%だから泡立ちにくい」と一括りにはできません。泡立ちは、天然由来かどうかだけではなく、使われている洗浄成分や処方全体で変わります。
シャンプー後のすすぎにも、そのまま使えます
僕がこの「部位ごとに洗うやり方」を気に入っている理由は、予洗いだけではありません。
シャンプー後のすすぎも、まったく同じ考え方でできます。
襟足。
後頭部。
左右の側頭部。
頭頂部。
前頭部と生え際。
一か所ずつ頭皮までお湯を通していくと、「泡が見えなくなったから終わり」ではなく、頭皮全体をすすげたかで確認できるようになります。
すすぎ残しやすい場所は、予洗いでお湯が届きにくい場所ともかなり重なります。
なので、一度この順番を身体で覚えてしまうと、予洗いから最後のすすぎまで、洗髪全体がすごく分かりやすくなります。
予洗いは「やること」より「意味を知ること」が先です
予洗いをした方がいい。
それだけを知っていると、とりあえず髪を濡らして終わりになりやすいです。
でも、
「シャンプーの前に、お湯で落とせるものを先に落としておく」
「頭皮全体へお湯を通して、洗う準備をしておく」
と意味が分かっていると、同じ予洗いでもやり方が変わります。
僕自身、いろいろな洗い方を試してきましたが、今はこの部位ごとに丁寧に流す方法をずっと続けています。
シャンプーを替えることも大事なときはあります。
でも、その前に毎日やっている洗い方の中に、まだ見直せるところが残っていることもあります。
予洗いは商品を一つ増やす必要もなければ、新しいケアを一つ増やす必要もありません。
今日のお風呂から、いつものシャンプーの前を少し丁寧にするだけです。
そのときに、ただ濡らすのではなく、「今、洗うための段取りをしている」と一度思い出してみてください。