【前半】アトピーマーチとは?僕のアレルギー歴と重なった最新研究
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今回は「アトピーマーチ」と経皮感作、そして僕自身のアレルギー歴について書いています。後半では、そこからつながる形で、僕が毎日肌に触れるものをどう選ぶようになったのかをお話しします。
「アトピーマーチ」という言葉を、僕は今回のニュースを見るまで知りませんでした。
でも意味を読んだ瞬間、かなり驚きました。
乳幼児期のアトピー性皮膚炎などを起点として、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など、別のアレルギー疾患がその後に現れていく。
もちろん、すべての人がこの順番をたどるわけではありません。
それでも僕は、
と思いました。
母親から聞いている僕の幼少期と、その後の経過がかなり重なっていたからです。
アトピーや喘息は、年齢を重ねるにつれてかなり落ち着きました。
今も一番強く残っているのは、アレルギー性鼻炎です。
花粉の時期と重なると本当にひどくて、1日でティッシュを1箱使うくらい鼻をかむことがあります。
鼻と上唇の間の「人中」まで荒れてしまい、髭も剃れないくらいになることもあります。
そんな自分のこれまでを振り返りながら今回の研究を読んでいると、単なる知らない医学用語ではなくなりました。
そもそも「アトピーマーチ」とは何なのか
アトピーマーチ、またはアレルギーマーチとは、アレルギー素因のある人に、年齢とともに複数のアレルギー疾患が現れていく経過を表した考え方です。
よく知られている流れとして、
- 乳児期のアトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎
などがあります。
ただ、ここは誤解してほしくありません。
アレルギー疾患の経過にはかなり個人差があり、すべての人が「アトピー→食物アレルギー→喘息→鼻炎」という一本道をたどるわけではありません。
日本小児アレルギー学会誌に2024年に掲載された全国疫学調査の報告では、各アレルギー疾患をすべて合併する典型的なアレルギーマーチの経過をたどった子どもは3.0%でした。
僕はこの数字を見て、逆に驚きました。
自分の周りでは、仕事柄もあって、敏感肌だったり、過去にアトピーがあったり、今もアレルギーに悩んでいたりする方と話す機会があります。
だから感覚としては「もっと多いんじゃないの?」と思ったんです。
ただ、この3.0%という数字は、すべてのアレルギー疾患を合併する典型的な経過についての数字です。
僕自身も、自分の病歴がその研究上の「3.0%」に完全に当てはまると確認したわけではありません。
それでも、アトピーマーチという概念を知ったことで、バラバラだと思っていた自分のアレルギー歴を初めて一本の流れとして見ることができました。
食物アレルギーの話なのに、皮膚が関係することがある
今回、僕が一番気になったのはここでした。
食物アレルギーと聞くと、どうしても「何を食べたか」を考えます。
僕自身もそうでした。
ところが、食物アレルギーの成立には、皮膚からアレルゲンに感作される「経皮感作」が関係する場合があることが以前から研究されています。
かなり簡単に言えば、免疫がある物質を「アレルゲンとして認識する状態になること」です。
湿疹などで皮膚のバリアが乱れている場所からアレルゲンが入り、免疫系が反応して感作が成立することを「経皮感作」と呼びます。
正常な皮膚には、外から異物が入りにくいように守るバリアがあります。
でも湿疹などでそのバリアが乱れていると、アレルゲンが皮膚を通して免疫系と接触することがあります。
だから「食べ物のアレルギーなのだから、食べるものだけ見ればいい」とは単純には言えない。
僕はここを知った時、少し怖さも感じました。
子どもの頃に食物アレルギーも喘息もアトピーも経験しているので、今かなり落ち着いているからといって、過去と完全に切り離して考えていいのか。
そんなことを考えながら、今回の研究を読み込んでいました。
2026年の研究で、皮膚の「記憶」から全身反応までの道筋が見えてきた
2026年8月24日、東京理科大学と京都大学から、アトピーマーチの仕組みに関する研究成果が発表されました。
研究そのものは、同年7月9日に米国科学アカデミー紀要「PNAS」に掲載されています。
研究で調べられたのは、かなり簡単に言えば、
再び同じアレルゲンに出会った時に、
どう強い全身反応へつながるのか。
という部分です。
専門用語を全部覚える必要はありません。
研究では、マウスを使ったモデルで次のような流れが示されました。
この研究で特に新しかったのは、IL-13が「どの細胞へ作用して反応を増幅するのか」という部分が、かなり具体的に示されたことです。
研究では、T細胞やB細胞ではなく、特定のcDC2という樹状細胞へのIL-13シグナルが、高親和性IgEの産生や全身性アナフィラキシー反応に重要だったことがマウスモデルで示されました。
人でも同じことが証明されたわけではありません
東京理科大学の発表を読むと、とても大きな研究成果に見えます。
実際、かなり興味深い研究だと思います。
ただし、「人間でもまったく同じ流れが証明された」とまでは言えません。
IL-13が特定のcDC2へ作用し、高親和性IgEや全身性アナフィラキシー反応につながる因果的な役割が実験で示されました。
ヒト:
アトピー性皮膚炎患者の皮膚や、花粉症・食物アレルギー患者の末梢血の公開データを解析し、関連するcDC2集団の増加と疾患活動性、アレルゲン特異的IgEとの相関が確認されています。
つまり、マウスで見つかった仕組みが人のアレルギーでも共通している可能性を支持するデータはある。
でも、人で同じ因果関係がすべて証明されたわけではない。
僕はこういう話ほど、この線引きはちゃんとしておきたいと思っています。
僕がこの記事で一番伝えたかったこと
今回の研究を読んで、僕が改めて感じたのは、皮膚の炎症を「見た目だけの問題」として考えない方がいいということです。
僕自身、アトピーがひどかった時は、まず見た目を何とかしたいと思っていました。
赤みがある。荒れている。人に見られたくない。
それを何とかしたいという気持ちは、ものすごく分かります。
でも皮膚は、見た目を作っているだけではありません。
身体と外の世界を隔てる場所でもあります。
今回の研究や、これまで積み重ねられてきた経皮感作の研究を見ると、皮膚の状態とアレルギーを完全に別々の話として見るのは難しいことが分かります。
アトピー性皮膚炎を治せば、その後のアレルギーが必ず防げるという話でもありません。
食物アレルギーが疑われる場合に、自己判断で食べ物を除去したり、薬の使い方を変えたりする話でもありません。
僕自身のこれまでを振り返ると、アトピー、食物アレルギー、小児喘息、そして今も残るアレルギー性鼻炎を、ずっと別々の出来事として考えていました。
今回「アトピーマーチ」という言葉を知って、初めて「ああ、こういう見方もあるのか」とつながった感じがしました。
そしてもう一つ考えたのが、食べるものだけではなく、毎日皮膚に触れるものを僕がなぜここまで気にするようになったのかということでした。
これは、母親が僕のためにしてくれていた食事のことや、僕自身が大人になってから商品や成分を見るようになった理由までつながってきます。
その話は長くなるので、後半の記事で続けます。
後半では、母親が僕のためにしてくれていた食事管理の記憶から、僕自身が「毎日肌に触れるもの」をどう見るようになったのか、そして今の物選びや浸艶の商品設計につながった考え方を書いています。
【後半】敏感肌の僕が、毎日肌に触れるものまで気にする理由を読む →・東京理科大学・京都大学(2026年8月24日)「アトピー性皮膚炎を発端に症状が全身に拡大する『アトピーマーチ』のメカニズムを解明」
東京理科大学
・Harada Y, Sasaki T, et al. “IL-13 signaling in cDC2 is required for systemic anaphylactic responses.” PNAS, 2026.
PNAS
・日本小児アレルギー学会誌(2024)「全国アレルギー疾患疫学調査からみえたアレルギーマーチの『いま』」
J-STAGE
・国立成育医療研究センター「アレルギーについて」
国立成育医療研究センター